Building Plamo Linux (for TOWNS)	Plamo Linux を FM TOWNS に対応させる方法 Slackware Linux, and Plamo Linux などから、 FM TOWNS 対応についての考察
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Plamo Linux を TOWNS 対応にする方法ついてまとめる (途中の)ページです。

1. Plamo/TOWNS を作成するようになった経緯

TOWNS 用の Linux の配布は、以前「Slackware (もっと前は、SLS) へのTOWNS用の追加パッケージ / インストーラを組み合わせた形」で行われていました。その頃の Slackware は、日本語環境を構築する追加パッケージ JE/PJE と組み合わせて広く使われていました。

しかし、『英語圏のディストリビューション』と『日本語追加パッケージ』を使うのではなく、『日本語対応ディストリビューション』を（作る）使うと言う流れになっていました。このため JE/PJE は、その役割を終えるようになっていきました。

Plamo Linux は、このような流れの一つとして Slackware Linux を元に日本語化させたものとして作られました。

また当時の Linux に起きた大きな変化にカーネルや標準ライブラリの変更がありました。これに伴い Slackware も大きく変化することになった。そして新しい PJE が出なくなった事により Slackware をサポートする事よりも Plamo Linux を TOWNS 対応にした方が、簡単と思われました。

上記の事から、更新が止まっていた Slackware ベースの TOWNS パッケージ／インストーラを（暫定的に）更新することを最初の目的とし、次に Plamo Linux 対応を検討し始めました。

2. Plamo/TOWNS の位置付け

当時、TOWNS 用に対応されていた Slackware は、Slackware-3.1 までで、 LINUX JAPAN 誌の創刊2号のものが最新でした。そのため Slackware をベースとしたものから、Plamo をベースとしてた現在のものまで、以下のように作成し移行して来ました。

現在の Plamo/TOWNS に至る過程
ベースしたもの	テスト媒体	カーネル	ライブラリ	内容
Slackware-3.5 *	MO	2.0系	libc5	Slackware ベースの Linux/TOWNS 用パッケージとインストーラ作りを把握するために作成しました。
Plamo-1.3 *	MO	2.0系	libc5	Slackware-3.5 と Plamo-1.3 との違いを確認していました。（MO にて作りかけのものを配布した事はあるが、特に公開はしていません。）
Plamo-1.4.x	CD-R	2.0系	libc5	CD-R を作成できる環境を手にいれたため Plamo-1.4.2 で、試しに作成した。その後、Plamo-1.4.4 へ移行した、配布を開始したのも Plamo-1.4.4 ベースのものからになります。
Plamo-2.0a1～b5 Plamo-2.0	CD-R	2.2系	glibc2.1.2 + unofficial JP patch	2.2系カーネルとglibc2への対応を試していた段階です。また、リンクと組み合わせて PC/AT互換機、PC-98x1、TOWNS で共用できるファイルをまとめ 1 枚の CD-R で構成する事をテストした。
Plamo-2.1	CD-R	2.2系	glibc2.1.94

* : Slackware-3.5 / Plamo-1.3 をベースとした Linux/TOWNS 環境を作成に関しては私以外にも試された方がいらっしゃいます。

上記の表の様な順で、試してきて Plamo/TOWNS ができてきたわけです。以下に Plamo/TOWNS の構成要素、TIPS をまとめます。

Slackware-3.5 を TOWNS 対応にする際に得られた、Slackware-3.1 ベースの TOWNS 用パッケージ／インストーラから、TOWNS 対応のために行われた手を加えられた部分。
Plamo Linux のパッケージ／インストーラの構成と独自に日本語対応された部分の内容。また、PC/AT用とPC-98x1用を共用するパッケージの作成方法。
Debian/TOWNS の実装から参考になった部分。（Debian/TOWNS 関係者に感謝、ただ、Debian と Plamo or Slackware は、かなり違うので単純に流量できるわけではないが、その手法など参考になった事は多くあります）
Vine/TOWNS の作成のためなどで、試みられた修正点の取り込み。（Marionetteさん、Ｔｏｍｏ－ｐさんに感謝）
Slackware-3.1 ベースの TOWNS Linux パッケージが、出たい後に移植された部分や更新された部分の取り込み。（新しい XTOWNS など…西さんに感謝）
もちろん、新しい Linux/TOWNS カーネル（kurati さん、他の方にも感謝）

上記のような要素をまとめて Plamo/TOWNS を作っている訳ですが、全てを把握できていないため問題点もあります。

最新の Plamo について
2002/06/04 現在の最新は、Plamo-2.2.6 です。開発版では、Plamo-3.0β1 もあります。まだ、これらへの対応はできていません……。

3. Linux/TOWNS 対応への第１歩

PC/AT互換器用ディストリビューションを元に Linux/TOWNS を(多少、強引に) 動かす方法に付いて
～Slackware-3.5 で試みた事より～

ここでは、Linux/TOWNS 未対応のディストリビューションやパッケージのバージョンが新しすぎて未対応のものを、強引(?)にTOWNS で動かす方法を解説します。
あまり、お勧めできる方法ではありませんが、Linux が動作可能な PC/AT互換機を持っており、ハードディスクに（GB単位での）十分な余分があり、かつ自己責任でやってみたい方のみ試してみてください。もちろんバックアップできる環境が無い方も、お勧めできません。
事前にバックアップできないと厳しいと思います。ネットワーク環境も必要ですが、代替案はあります。

これは、(私が試した中で) 最初に Slackware-3.5 ベースの Linux/TOWNS の動作環境を作ったときにやった方法を（思い出しながら）書きます。

まだ、TOWNS へ Linux をインストールしていないならインストールし、ネットワーク環境を整備します
PC/AT互換機への Linux のインストール（PC-98x1 で代替する事も可能かな？）
双方のマシンで、rsh を使用できるように設定する。（ssh を使った方がいいと思う）
大容量メディアもしくは、ネットワーク経由で、tar を使用して環境一式をコピーする。（展開の際には、umask 000 にしておいて、終了後に元(umask 022) に戻してください）
他の Linux/TOWNS を起動して、TOWNS では、動かず障害になるものを入れ換えるか削除する。通常は、/lib/module/2.2.*/ などのモジュールも入れ換える必要があると思われます。
また、/etc/fstab の様にマシン毎に違うものも、修正します。
dosboot5.exe などで、Linux/TOWNS カーネルを使用して起動を試みる。
うまく行かなかったら、再度、障害になっている部分を入れ換え必要があるので、前２つの項目（障害部分の入れ換えと Linux/TOWNS の起動）を繰り返す。
ping が、あたるのであれば、telnet などでログインを試みて、ダメならできるように設定するようにして作業する事を、お勧めします。
他のマシンからログインできるのであれば、電源のOFF/リセットなど自由にできますし、他の事も試せるでしょう。

この方法は、IA-32 アーキテクチャ向けのディストリビューションであれば、 Plamo や Slackware 以外でも可能と思われます。
興味があってバックアップが取れる人は、試してみる事ができるでしょう。
逆に他のアーキテクチャの CPU を対象に作られた Linux ディストリビューションを動かす事は困難だと思われます。

Slackware-3.5 を動かして気づく事
上記のように試して、気づいた点をまとめます。あっさり動く(運が良ければ…) TOWNS 用の Linux カーネルさえ用意して起動すれば、あっさり動きました。ただ、最初に起動するカーネルは、インストール用に使用するローダブル・モジュールを使用していないもので試すといいと思われます。起動できれば、ます新しい環境で、Linux/TOWNS カーネルを作成しましょう。ただ、この状態では Linux/TOWNS の TOWNS 依存部分は動作しません。もちろん、X Window System は、動きません。xdm で起動するように設定されているとハングアップするでしょう。ただ、X Window System は、マウス関係を整備して X TOWNS をコンパイルする必要があるかも知れません。 WWW などのサーバーは、ほとんど問題なく動きます。 kon など TOWNS で動かないものも動かさなければ問題ありません。ハードに依存する分は、調整が必要。(キーボード, fdisk など)

4. Slackware ベースの TOWNS のインストーラと Plamo/TOWNS のインストーラ

Slackware-3.1 ベースの TOWNS Linux を納めた CD-ROM では、 TOWNS 対応のために CD-ROM の TOWNS ディレクトリ配下に TOWNS 用のインストーラとパッケージを収録しています。
これは、（確かな記憶とは言えないが）当時の Slackware は、 PC/AT互換機のみをターゲットとしていたことと Slackware 自体には、手を加えないと言う前提条件があったことから、そういう構成になっています。 Plamo の方は、PC-98x1 に対応するために、パッケージ自体も共通で使うもの独自に手が加えられたものの２種類で構成されています。

Linux/TOWNS 対応にするうえでの Slackware と Plamo の比較

対象インストーラパッケージ内容

カーネルルートイメージ

Slackware Linux PC/AT kernels/... rootdsks/... slakware/... Slackware-3.1 の本体部分

TOWNS TOWNS/Z1 TOWNS/ROOT.FMT slakware/... Slackware 本体と TOWNS 化したパッケージを組み合わせたインストーラから構成。
TOWNS 化したパッケージとインストーラで、非対応部分を調整するようになっています。

TOWNS/...

Plamo Linux PC/AT /cdrom/boot/bootdsk 他 plamo Plamo Linux では、PC/AT互換機用部分と PC-98x1 用部分が、入口で明確に分離されています。PC/AT互換機では、パッケージは、plamo。インストーラ他 AT 互換機種依存部分が、AT となっています。 PC-98x1 でも、同様に 98 と plamo98 になっています。共通使用できる部分は、ハードリンクなどで共通のファイルを利用するようになっています。
TOWNS 対応する上でも、同じ手法をとっています。

PC-98x1 /cdrom/98/*/*.img plamo98

TOWNS TOWNS/z* TOWNS/initrdfm.p21 plamoFM

上記の表では、AT / TOWNS 用 Slackware, Plamo の CD-ROM の概要についてまとめました。
下記の表は、それらの構成要素（上の表の列項目）について補足しています。

Slackware と Plamo のインストール用 CD-ROM の構成要素
	位置付け			Slackware-3.1	Plamo	Plamo/TOWNS	内容
インストーラ	1次インストーラ	ブートディスク			boot/bootdsk 他		カーネルとルートイメージが一緒に入ったインストール用の起動ディスク
			カーネル	kernels/...		TOWNS/z*	インストール用のカーネル
			ルートイメージ	rootdsks/...		TOWNS/initrdfm.p21	インストーラで ``/'' (ROOT) 区画として展開するファイルシステムの内容です。 RAM ディスクへ展開されることが多い。
	2次インストーラ			.../a1/setup.tgz (/usr/lib/setup/...)			一度、ハードディスクへインストールされた後の追加インストールを行う部分。
パッケージ	パッケージ						Slackware 系ディストリビューションでは tar+gzip 形式で圧縮されたファイル。なお、この形式では install/install.sh があると、インストールの際に実行される。
		基本パッケージ		slackware/...	plamo/... plamo98/...	plamoFM/...	通常のインストール対象のパッケージ。アプリケーション単位でまとめられる事が多い。
		contrib			contrib/...		有志の方から提供(contribute)された追加パッケージ。（標準インストール範囲外）

インストーラ(1次インストーラ)

インストールの最初の段階で CD-ROM(もしくは、フロッピーなど) から起動し、各パッケージのインストールを行うソフトウェアです。
インストーラは、カーネルイメージとルートイメージの 2 つを組み合わせたものです。カーネルイメージは、Linux のカーネルそのもです、ルートイメージは、RAM ディスクへ展開する ``/'' (ROOT) 区画として展開するファイルシステムの内容です。
Slackware 系では、非常時のメンテナンス用にも使用できる最小限の Linux になっています。

パッケージ

Slackware 系では、tar+gzip の形式で圧縮されたファイルです。
分野・役割と行った単位でディレクトリによってまとめられており、この「パッケージのまとまり」をシリーズ* と言うようです。
*: シリーズの定義は、確かのものとは言えません。

Plamo/TOWNS のパッケージ配置に関して
この章では、Plamo-2.1 をベースとしていた Plamo/TOWNS-2.1 の段階でのディレクトリ構成を示しました。この構成がベストと言う訳ではなく、作成方法の１つの例を示したつもりです。実際、 Plamo-3.0 では PC-98x1 用のパッケージの配置が変わったためディレクトリ構成の見直しが必要です。

5. 「1次インストーラ」に手を加える

Slackware や Plamo の1次インストーラは、フロッピィディスクや CD-ROM から起動され、通常、RAM ディスクへ展開されます。前の章では、1次インストーラの構成要素をまとめました。その中の「1次インストーラ」の中にルートイメージがありここにインストーラのスクリプトなどが組み込まれています。
ここでは、1次インストーラに手を加える方法を説明します。

5.1 「1次インストーラ」のルートイメージの中身を見る

5.1.1 ルートイメージのデバイスに展開して中身を見る

ルートイメージは、RAM ディスク（やフロッピィ）に展開されて使用します。つまり実際のインストーラの流れと同じに様に展開しマウントすれば、中身を見る事も編集する事もできます。
（RAM ディスクを編集する場合は、イメージに戻すなどの保存する事が必要ですが…）

例：RAM ディスクへ展開して中身を確認する。
`# mount /cdrom # dd if=/cdrom/TOWNS/ROOT.FMT of=/dev/ram0 2400+0 records in 2400+0 records out # mount -t minix /dev/ram0 /mnt/ -o ro^* # ls -l /mnt` この例では、Slackware-3.1 ベースのLinux/TOWNS 用 1次インストーラ (1.2MB 2HD FD) を展開しています。 *: このルートイメージは、ext2 ファイルシステムでなく minix ファイルシステムです。補足フロッピィディスクへの展開なら、DOS コマンド（MSTOFS.COM(TOWNS用)/RAWRITE.EXE(PC/AT互換器用)）を使用して行う事もできます。 minix/ext2/vfat などのファイルシステムの話は、ここでは、基本的には触れないので、man で、mkfs(8), mount(8) を参照してください。

5.1.2 ルートイメージをループデバイスを使用して中身を見る

ループデバイス (/dev/loop) を使用すると、実際にインストールのときに使われるデバイスを使用するよりも簡単にマウントできます。

例：ループデバイスの使用例
Slackware-3.1 ベースの TOWNS 用インストーラのルートイメージの場合 `# mount -t minix /cdrom1/TOWNS/ROOT.FMT /mnt -o ro,loop` Plamo/TOWNS-2.1 インストーラのルートイメージの場合 `# mount -t ext2 /cdrom/TOWNS/initrdfm.p21 /mnt/ -o ro,loop`

このループデバイスを使用するためには、カーネル作成時 make configのときに、CONFIG_BLK_DEV_LOOP=y とする必要があります。

5.1.3 「1次インストーラ」のカーネルについて

「1次インストーラ」のカーネルは、initrd などのインストールに必要な機能を組み込んだものになります。Plamo/TOWNS の場合は、Slackware-3.1 用の TOWNS インストーラ用のカーネルの設定を元に調整しています。

例：TOWNS 用のインストーラ向けカーネル
元にしているディストリビューション	用途	カーネル	設定(.config)			System.map
元にしているディストリビューション	用途	カーネル	ファイル	SCSI高速化	ネットワーク	System.map
Plamo-2.1	インストール（標準）	.../TOWNS/z1	.../TOWNS/z1.cfg	×	×	.../TOWNS/z1.map
	インストール（高速） *	.../TOWNS/z1fast	.../TOWNS/z1fast.cfg	○	×	.../TOWNS/z1fast.map
	インストール(Network) *	.../TOWNS/z2fast	.../TOWNS/z2fast.cfg	○	○	.../TOWNS/z2fast.map
Slackware-3.1	インストール	.../TOWNS/Z1	.../TOWNS/Z1.CFG	×	×	.../TOWNS/Z1.MAP

* SCSI の高速化は、全ての TOWNS で動作する訳ではないので、注意が必要。

上記の様に、Plamo/TOWNS では、Slackware-3.1 用の TOWNSインストーラ用のカーネルや設定を同じように公開しています。

5.2 「1次インストーラ」の中身を見る

Plamo の 1次インストーラのルートイメージの内部をマウントする方法を説明します。
ここでは、Plamo-2.1 の .../boot/bootdsk ファイルを使用しましたが、あたらしい Plamo へ対応が必要になるときに、新しいバージョンものの中身を確認するときに用います。


            # mount /cdrom/

            # mount -t vfat /cdrom/boot/bootdsk /mnt/ -o ro,loop
            
            …… ブートディスク（vfat ファイルシステム）をマウント

以下は、ブートディスクの中身です。

# ls -l /mnt/
total 1296
-rwxr-xr-x   1 root     root          512  8月 20日 2000年 dos.bss
-rwxr-xr-x   1 root     root       654071  9月  4日 2000年 initrd.gz
-r-xr-xr-x   1 root     root         5860  8月 20日 2000年 ldlinux.sys
-rwxr-xr-x   1 root     root           50  8月 20日 2000年 syslinux.cfg
-rwxr-xr-x   1 root     root       664339  9月  4日 2000年 vmlinuz

initrd.gz …… gzip 圧縮されたルートイメージ
vmlinuz …… カーネル


            # gzip -cd /mnt/initrd.gz > initrd.img
            
            …… gzip 圧縮されたルートイメージを通常のファイルへ戻す。
            

            # umount /mnt/

            # mount -t ext2 initrd.img /mnt/ -o loop
            
            …… ルートイメージをマウントする。

以下は、ルートイメージの中身です。

# ls -l /mnt/
total 30
drwxr-xr-x   2 root     root         1024  3月  1日 1998年 bin
drwxr-xr-x   2 root     root         1024  1月  9日 1997年 boot
lrwxrwxrwx   1 root     root           14  8月 27日 2000年 cdrom -> /var/adm/mount
drwxr-xr-x   3 root     root         5120  2月 28日 2000年 dev
drwxr-xr-x   4 root     root         1024  1月  9日 1999年 etc
drwxr-xr-x   2 root     root         1024  5月 18日 1996年 floppy
drwxr-xr-x   3 root     root         1024  1月 14日 1999年 lib
drwxr-xr-x   2 root     root        12288  3月 28日 2000年 lost+found
drwxr-xr-x   2 root     root         1024  6月 25日 1995年 mnt
drwxr-xr-x   2 root     root         1024  3月 10日 1993年 proc
drwxr-xr-x   2 root     root         1024 10月 10日 1998年 root
drwxr-xr-x   2 root     root         1024 11月  3日 1999年 sbin
drwxr-xr-x   2 root     root         1024  1月 30日 1994年 tag
drwxr-xr-x   2 root     root         1024  8月 24日 1997年 tmp
drwxr-xr-x   5 root     root         1024  6月 16日 1997年 usr
drwxr-xr-x   4 root     root         1024 11月 24日 1995年 var

1次インストーラのルートイメージの内部をマウントする方法を説明します。

6.「パッケージ」に手を加える

Slackware や Plamo のパッケージは、tar+gzip 形式で書庫化, 圧縮されたファイルです。依存関係の管理などの機能は持ちません。

そのため tar , gzip コマンドだけで作成・展開・内容表示する事もできます。
以下のパッケージに作成に関する以下のコマンドのオンラインマニュアルも makepkg(8), explodepkg(8) 参照されるといいと思います。もっと詳しい情報が得られます。
（このマニュアルは、日本語のものが無いような気がしますが…）

6.1 「パッケージ」の中身を見る

以下に、GNU tar を使ってファイル一覧を表示させる例を示します。

$ tar tvzf /cdrom/plamoFM/a1/fmbase.tgz 
drwxr-xr-x root/bin          0 1998-12-20 19:03 bin/
drwxr-xr-x root/root         0 1993-10-17 07:37 cdrom/
drwxr-xr-x root/root         0 1993-10-10 11:16 dos/
drwxr-xr-x root/root         0 1993-10-10 11:16 fd/
drwxr-xr-x root/root         0 2000-12-21 23:32 install/
-rw-r--r-- root/root       349 2000-12-21 00:54 install/doinst.sh
drwxr-xr-x root/root         0 1998-12-20 19:36 lib/
drwxr-xr-x root/root         0 1997-01-16 23:48 usr/
drwxr-xr-x root/root         0 1999-01-12 23:54 usr/bin/
drwxr-xr-x root/root         0 1995-07-01 02:13 usr/towns/
drwxr-xr-x root/root         0 2000-12-21 01:03 usr/towns/sbin/
-rwxr-xr-x root/root     73056 2000-12-21 01:03 usr/towns/sbin/fdisk
-rwxr-xr-x root/root     15984 1998-09-20 19:44 usr/towns/sbin/fdisk.old
drwxr-xr-x root/root         0 1995-08-16 23:03 usr/towns/usr/
drwxr-xr-x root/root         0 2000-12-21 01:05 usr/towns/usr/bin/
-rwxr-xr-x root/root    206864 1999-12-13 21:15 usr/towns/usr/bin/ab
-rwxr-xr-x root/root      5104 1999-12-13 21:28 usr/towns/usr/bin/convkfont
-rwxr-xr-x root/root     23580 1999-12-13 23:23 usr/towns/usr/bin/dumpkeys
-rwxr-xr-x root/root      3480 1999-09-21 23:05 usr/towns/usr/bin/eject
-rwxr-xr-x root/root      5308 1999-12-13 23:16 usr/towns/usr/bin/fdformat
-rwxr-xr-x root/root      3824 1999-11-19 22:00 usr/towns/usr/bin/kanjimode
《以下省略》

この中で、install/doinst.sh は、パッケージがインストールされる際に実行されるスクリプトです。
なお、このパッケージは、/usr/towns 配下にコマンドなどをインストールしますが、ファイルの配置に関しては、後で説明する予定です。

tar と gzip を別々に使うと以下のようになります。
gzip -cd /cdrom/plamoFM/a1/fmbase.tgz | tar tvf -

6.1.1 「パッケージ」を作る

パッケージを作るためには、まず、作りたいパッケージのソースコードを入手して、それを正しくコンパイルできないと行けません。
これは、以外と難しいものではないのですが、組み込みたいものによってその難易度がかなり違ってきますし、あまり参考にならないかも知れませんが、例を用いて説明します。
なお、この evol-mixer は、.../plamoFM/a1/fmsound.tgz に収録してあります。

残念ながら、evol-mixer は、パッケージ作りのサンプルとしては、適当でない部分がいくつかあります。ここでの一番の問題は、1 つは本来の場所以外へインストールするときに適当なオプションが無いことです。

本来なら
# make DESTDIR=../destination install
のような指定でインストールできる方が望ましいが、evol-1.0.1 では、以下のように
# make prefix=../destination/usr install
なります。
実際にどのような方法を取るのがいいかは、Makefile を読んでみて試してみるといいと思われます。

また、今回のインストールでは、パーミッションについてあまり注意を払っていませんが a1/devs.tgz の様にパーミッション、所有ユーザー、所有グループなどに注意を払う必要があるパッケージもあります。


ソースからのコンパイル `$ tar xvzf ~/public_html/download/evolmixer-1.0.1.tar.gz …… ソースファイルを展開` 《略》 `$ cd evolmixer-1.0.1/ $ ./configure --prefix=/usr …… “/usr/” へのインストールを前提とした設定` 《略》 `$ make clean` 《略》 `$ make …… コンパイル` gcc -Wall -g -O2 -DSTDC_HEADERS=1 -DHAVE_FCNTL_H=1 -DHAVE_LINUX_TOWNSVOL_H=1 -DTOWNS=1 evolmixer.c -o evol インストール $ su # mkdir -p ../destination …… 仮のインストール先ディレクトリの作成 # mkdir -p ../destination/usr …… 仮のインストールに必要なディレクトリの作成 # make prefix=../destination/usr install + mkdir ../destination/usr/bin /bin/install -c -s evol ../destination/usr/bin/evol # mkdir -p ../destination/usr/man/ja_JP.eucJP/man1 …… 仮のマニュアル・インストールに必要なディレクトリの作成 # make prefix=../destination/usr install.man gzip -c evol.man > evol.man.gz ; \ /bin/install -c -m 0444 evol.man.gz ../destination/usr/man/ja_JP.eucJP/man1/evol.1.gz パッケージ化（tar(+gzip) によるパッケージ化） `bash# cd ../destination …… 仮のマニュアル・インストールを行ったディレクトリへ移動 bash# ls usr bash# tar cvzf ../evol.tgz usr/ …… tar + gzip パッケージ作成 usr/ usr/bin/ usr/bin/evol usr/man/ usr/man/ja_JP.eucJP/ usr/man/ja_JP.eucJP/man1/ usr/man/ja_JP.eucJP/man1/evol.1.gz` パッケージ化（makepkg によるパッケージ化） bash# makepkg ../evol-1.0.1.tgz …… 仮のマニュアル・インストールに必要なディレクトリの作成 Slackware package maker, version 1.0. Searching for symbolic links: No symbolic links were found, so we won't make an installation script. You can make your own later in ./install/doinst.sh and rebuild the package if you like. This next step is optional - you can set the directories in your package to some sane permissions. If any of the directories in your package have special permissions, then DO NOT reset them here! Would you like to reset all directory permissions to 755 (drwxr-xr-x) and directory ownerships to root.root ([y]es, [n]o)? y mode of . retained as 0755 (rwxr-xr-x) mode of ./usr retained as 0755 (rwxr-xr-x) mode of ./usr/bin retained as 0755 (rwxr-xr-x) mode of ./usr/man retained as 0755 (rwxr-xr-x) mode of ./usr/man/ja_JP.eucJP retained as 0755 (rwxr-xr-x) mode of ./usr/man/ja_JP.eucJP/man1 retained as 0755 (rwxr-xr-x) owner of . retained as root.root owner of ./usr retained as root.root owner of ./usr/bin retained as root.root owner of ./usr/man retained as root.root owner of ./usr/man/ja_JP.eucJP retained as root.root owner of ./usr/man/ja_JP.eucJP/man1 retained as root.root Creating tar file evol-1.0.1.tar... ./ usr/ usr/bin/ usr/bin/evol usr/man/ usr/man/ja_JP.eucJP/ usr/man/ja_JP.eucJP/man1/ usr/man/ja_JP.eucJP/man1/evol.1.gz tar: evol-1.0.1.tar is the archive; not dumped Gzipping evol-1.0.1.tar... Renaming evol-1.0.1.tar.gz to evol-1.0.1.tgz... Moving evol-1.0.1.tgz to ..... Package creation complete.

実際のところ、今回のものは、GNU tar を使ったパッケージも makepkg を使ったものも、そんなに変わりません。
makepkg は、シンボリック・リンクが存在する場合、パッケージをインストールする際に使用されるスクリプト (install/doinst.sh)のコードに変換します。
このパッケージには、インストール用スクリプトが必要無かったためもともと存在しなかった事と、シンボリックリンクが無いため install/doinst.sh が作られません。

6.1.2 主要パッケージの構成

これまで見てきたように、Plamo/Slackware のパッケージは、単なる tar+gzip のファイルであり実際どのように展開されるかは、 " tar tvzf package-name.tar.gz " で確認することができます。^*1

1次インストールの対象となるパッケージが収まっている部分のトップディレクトリには、各パッケージをまとめたディレクトリ以外に以下のファイルがあります。

例：TOWNS 用のインストーラ向けカーネル
元にしているディストリビューション	トップディレクトリ	ファイル
元にしているディストリビューション	トップディレクトリ	ファイルリスト	チェックサム	その他
Plamo-2.1	plamo(AT)	filelist.gz	md5sum
	plamo98(PC-98x1)
	plamoFM(FM TOWNS)
Slackware-3.1	slakware	MANIFEST	CHECKSUMS	FILE_LIST … パッケージのファイルリスト一覧 makeflop … FD 作成用スクリプト

ここで紹介した、「ファイルリスト一覧」や「チェックサム」を納めたファイルは、インストール自体には関係ないですが、パッケージの内容を把握には良いでしょう。

「チェックサム」は、各ファイル（この場合は、パッケージ）から取られた指紋（の様な数字）です。当然パッケージがアップデートされれば、この部分が変わります。指紋と同じような性質を持つ事からダウンロードする際に（ウィルスやトロイの木馬などの要因も考えて）ファイルが改ざんされていないかを調べるときに用いられます。
このファイルを比較すれば、２つのバージョンの CD-ROM の間でアップデートされた可能性の高い^*ファイルを調べるのに使えるでしょう。 （*: ファイルの中身は全く同じでもチェックサムが違うことも多いので、確実な情報と言う訳ではありません。）
詳細は、「man md5sum」としてください。（日本語版マニュアルがあります）

以下に Plamo Linux の「ファイルリスト一覧」(filelist.gz) と「チェックサム」 (md5sum) ファイルの作り方の例を示します。（あんまりいい例ではないけど…。）

filelist.gz, md5sum の作り方
filelist.gz の作り方（例） `$ find 1 -name '.tgz' \ > -exec echo '+------------------------------------------------' \; \ > -exec echo '+ {}' \; \ > -exec echo '+------------------------------------------------' \; \ > -exec tar tvzf {} \; \| gzip -c > filelist.gz` 上記の方法でいちおう ^作れるはずです。以前使っていたスクリプトを見るとこうなっていたのだが、今作ると『こう』は、ならない気がする…。 md5sum の作り方（例） `$ cd .../plamoFM/` ……………… パッケージのトップディレクトリ `$ md5sum /.tgz > md5sum` …… チェックサム作成

「ファイルリスト一覧」は、全てのパッケージに対して「tar tvzf ….tar.gz」したものなのです。
これを見ると以下のような事が（だいたい^*1）分かるでしょう。

特定のファイルがどのパッケージに含まれているか。
最終的にインストールされるファイルの配置。

上記の各パッケージ中のファイルをどこのディレクトリへ配置するか、つまりインストール先を決めるには、一定の基準が必要になってきます。
ファイル配置の基準に関しては、 man hier が参考になります。またこのマニュアルの日本語訳の訳注には、「FSSTND(The Linux Filesystem Standard)」から「FHS(The Filesystem Hierarchy Standard)」への流れが若干触れてある。ファイルの配置には、標準化の流れも考慮にいれる必要がある ^*2と判断しています。

*1: インストールスクリプトによってファイルが作成されたり、移動されたり、削除される事もありますが…。
*2: パッケージ作成の例としていた evol.tgz は、FHS などを考慮しているもので fmsound.tgz とは、配置が違います。（これについては、また後で触れます。）

6.2 パッケージとシリーズの構成

パッケージは、 CD-ROM の中で、a1, ap1, n1, x1 などのディレクトリ名の配下にまとめられています。この a, ap, n, x などは、パッケージの分野毎にまとめたものでシリーズと呼ばれています。

シリーズの各ディレクトリには、以下のファイルが収録されています。

パッケージ

diskxxファイル

tagfile

install.end

シリーズでは

^*3

*3: Slackware のシリーズは、（全てのシリーズではないですが…）フロッピーディスクの単位で納められるように考慮されており、そのため 1 つのシリーズが、複数のディレクトリへ分割されている場合があります。 Plamo Linux の場合、1 つのシリーズは、1 つのディレクトリにまとめられています。

以下に、Plamo および Plamo/TOWNS のシリーズの一覧と TOWNS 対応にするために修正したパッケージ数などをまとめています。

Plamo-2.1 および Plamo/TOWNS-2.1 のパッケージ
シリーズ名	内容		Plamo/TOWNS-2.1 で加えた修正
シリーズ名	Plamo(AT互換機 / PC-98x1)	Plamo/TOWNS	共通	更新	削除	新規
"A"	ベースLinuxシステム		30	6	11	4
"AP"	X 無しで動く各種アプリケーション		15	0	0	0
"FMAP"		X 無しで動く TOWNS アプリケーション	0	0	0	4
"D"	プログラム開発環境(C, C++, Lisp, Perl, etc.)		18	1	0	0
"F"	FAQ lists, HOWTO 文書(英語版のドキュメント)		5	0	0	2
"K"	Linuxカーネルのソースコード		0	1	0	0
"N"	ネットワーク環境(TCP/IP, UUCP, Mail, News)		11	0	0	0
"JG"	日本で開発された各種ゲーム		36	0	0	0
"CN"	かな漢字変換システム Canna		1	0	0	0
"WNN"	かな漢字変換システム Wnn		1	0	0	0
"JFN"	pTeX 用フォント		5	0	0	0
"JML"	Emacs 20.6		13	0	0	0
"JPT"	アスキー日本語 pTeX		3	0	0	0
"XS"	XFree86 サーバ	Xtowns サーバ	0	0	15	5
"X"	XFree86基本システム	Xtowns 基本システム	14	0	7	7
"XAP"	X ウィンドウ用アプリケーション		29	0	0	0
"FMXAP"		X ウィンドウ用 TOWNS アプリケーション	0	0	0	7
"TCL"	Tcl/TK 日本語対応版		5	0	0	0
"XD"	X ウィンドウ用サーバ開発キット		1	0	0	0
"XV"	XView (OpenLook風ウィンドウマネージャ、アプリケーション		8	0	0	0
"Y"	Games X 不要の各種ゲーム		4	0	0	0

上記の表は、 Plamo-2.1 での加えた変更点です。
詳細は、 Plamo-2.1 を TOWNS 対応にするための変更パッケージのページを参照してください。

Appendix A カスケーディングスタイルシート(CSS)と印刷

mozilla を使用して、このページを印刷する場合、


「表示(V)」→ 「スタイルを使う(U)」→「plamo-print」

を使用すると文字や罫線が表示されると思います。

mozilla で、A3 → A4 への変換と印刷
「ファイル(F)」→「印刷(P)」を選択する。「印刷」の画面から「プロパティ...」を開き以下の設定をして「OK」します。用紙サイズを「A3 (11.7x16.5 inch)」を選択印刷コマンドを「psresize -PA3 -pA4 \| lpr」など ^* とする。（ psresize -PA3 -pA4 が、「A3 → A4 への変換」をしている部分です）「印刷」の画面から「印刷」を選択して印刷を始めます。

*: プリンタのフィルタに登録する手も有りますが…

Postscript のファイルを残しておきたい場合

出力先を「ファイル」にし
「プロパティ...」の用紙サイズを「A3 (11.7x16.5 inch)」を選択して A3 形式でファイルに出力し
psresize にて A4 出力用に再変換し印刷（psresize -PA3 -pA4 mozilla.ps | lpr）する

といいと思います。
（変換後にファイルにしておくと印刷する前に gvで、イメージを確認する事もできます）

　　　丸市　展之