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10.GUIの部品の挙動

　main 関数で行っていることは、ほとんど前処理だけです。では、ボタンを 押されたときの処理は、どうなっているんでしょうか? 　直前で説明した。コールバック関数もその一つです。 　それ以外の手法となるアクションについて説明します。

　GUIのプログラムは、主にマウスの動作に反応して動きます。マウスの 動きなどは、イベントといわれます。ウィジェットは、イベントが起こった ときに、挙動処理をするアクションを働かせることができます。
　通常ウィジェットは、どのイベントが起こったときに、どのイベントを起 こすかを translations(変換テーブル)というリソースで設定します。

　ちなみに、xev というXのイベントの状況を表示するアプリケーションが あります。

• 変換テーブル 　Command/Toggle/Repater などのボタン系の部品は、通常、カーソルを動か して、ボタンの内側・外側の移動だけでも表示が変わります。このことは、 ウィジェット自体が、このような内部処理を行っていることを示します。

  　このような処理の流れは、変換テーブルで設定されています。
  　以下に、Toggle ウィジェットのデフォルトの変換テーブルを示します。

  <EnterWindow>: highlight(Always) <LeaveWindow>: unhighlight() <Btn1Down>,<Btn1Up>: toggle() notify()

  　この処理をまとめると、

  イベント	アクション	マウスの挙動	表示
  <EnterWindow>	highlight(Always) (内部に枠を表示にする)	カーソルがボタンの外側 ↓ 内側に入る	↓
  <LeaveWindow>	unhighlight() (通常表示にする)	カーソルがボタンの内側 ↓ 外側へ出る	↓
  <Btn1Down>,<Btn1Up>	toggle() (反転表示する) notify() (ボタンの処理を行なう)	→ ↓ →	↓↑

  のようになります。

• ここに、示されているイベントは、4つあります。
  • <EnterWindow> ………　カーソルがウィジェットの外側へ出るイベント
  • <LeaveWindow> ………　カーソルがウィジェットの内側に入るイベント
  • <Btn1Down> …………　ボタン1(マウスの左ボタン)が押されたイベント
  • <Btn1Up> ……………　ボタン1(マウスの左ボタン)が離されたイベント
  なお、以下のように組み合わして使用することもできます。
  • <Btn1Down>,<Btn1Up>…　ボタン1を押して離した場合を示す。

  2 ボタンマウスと 3 ボタンマウス

  ボタンの種類	押す	離す	3 ボタンマウス	2 ボタンマウス
  ボタン1	Btn1Down	Btn1Up
  ボタン2	Btn2Down	Btn2Up		(同時に押す/離す)
  ボタン3	Btn2Down	Btn3Up

  X では、5 つまでのボタンを扱うことができますが、 ワークステーションで広く使われている 3 つのボタン以外は、 あまり使われません。
  パソコンでは、2 つのボタンのマウスが多く使われています。 PC-UNIX では、通常、2 つボタンのマウスでも 3 つのボタンマウスの 機能を補うために、左右のボタンを同時に押す/離すことにより 中央の第2ボタンの働きをさせています。
  プログラマは、アプリケーションがボタンの数に依存しないように 注意すべきです。

• 使用されているアクションは、以下の4つです。
  • highlight() ………　内部の枠を表示にするアクション
  • unhighlight() ……　内部の枠をクリアするアクション
  • toggle() ……………　ON/OFFの状態を反転するアクション
  • notify() ……………　コールバック関数を呼び出すアクション

  　xwireless では、REC/PLAY/PAUSEなどでは、それぞれ、 録画(録音)中/再生中/停止中の状態を表すことが出来ればベストなの ですが、実際には、これを判定することが不可能なので以下のように、 リソースを設定して、通常の Command ウィジェットと同じ挙動にします。

  *xwireless*Toggle.translations: \ <EnterWindow>: highlight() \n\ <LeaveWindow>: reset() \n\ <Btn1Down>: set() \n\ <Btn1Up>: notify() unset()

  　このリソースの設定は、複数行に渡る。このため、次の行に続く場合に 行末に`\n\'を置きます。

• アクションの作成 　上記のようにアクションは、リソースファイルのなかで関数のように使用 されます。上記の highlight()/unhighlight()/notify() などは、定義済の アクションですが、プログラマが独自のアクションを作ることも可能です。

  　以下に独自のアクションの設定の例を方法を示します。
  　アクションのために追加するコードは、""で示す部分です。

  
  
  void action_proc(Widget w, XEvent *event,
                        String *params, Cardinal *num_params)
  {
  　　　　　　　　・
  　　　　　　　　・
  　　　　　　　　・
  }
  
  int main(int argc, char **argv)
  {
      XtAppContext app_context;
      Widget topLevel;
  
      static XtActionsRec add_actions[] = {
          {"action", action_proc},
  　　　　　　　　・
  　　　　　　　　・
  　　　　　　　　・
          {"action1", action_proc1},
      };
  
      topLevel = XtVaAppInitialize(
          &app_context,           /* Application context */
          "XWireless",            /* Application class */
          NULL, 0,                /* command line */
          &argc, argv,            /* command line args */
          NULL,                   /* for missing app-defaults file */
          NULL);                  /* terminate varargs list */
  
  　　　　　　　　・
  　　　　　　　　・
  　　　　　　　　・
  
      XtAppAddActions(app_context,
                          add_actions, XtNumber(add_actions));
  　　　　　　　　・
  　　　　　　　　・
  　　　　　　　　・
  }
  

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  　そして、アプリケーション・デフォルト・ファイル内の translations リソースにアクションを追加します。

  *xwireless*Toggle.translations: \ <EnterWindow>: highlight() action() \n\ <LeaveWindow>: reset() action() \n\ <Btn1Down>: set() \n\ <Btn1Up>: notify() unset()

  　ここでは、カーソルがウィジェットの中←→外の移動をしたときに呼び出されます。

  注意事項

  translations(変換テーブル)の設定は、プログラマの予測範囲を越え るカスタマイズになってしますことが多いと思います。つまり、バグにな ってしまうことがよくあります。 　また、他の設定でもバグの原因になる可能性があります。このため変更 する場合は、オリジナルおよび直前のリソースファイルのバックアップと っておいたほうがいいと思います。