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11.実際のアプリケーション

　ここまでの xwireless では、実際に機能するアプリケーションにする場合 のことを考えていきます。

　市販の多機能リモコンには、メーカやAV機器の選択で、あらかじめ準備さ れたプリセット信号を使用することができます。そして、高性能なリモコンに は、学習機能を持つリモコンもあります。

　しかし、あんまり複雑な機能は面倒ですし、サンプルとしては適当でないの で xwireless では、あらかじめ登録されている各社のリモコンのプリセット 信号を出力するプログラムとします。

 　また、リモコンのプリセット信号は、TV・VTR用のみみたいなので、 xwireless では、VTR用とします。

　なお以後は、VTR用の xwireless は、vwireless という名称にします。

 

実際の vwireless アプリケーションに必要な機能 

必要な機能	実現方法
リモコンの赤外線信号の送信	コールバック関数に赤外線信号の送信部分のコードを追加する
リモコンの信号を使っているビデオのメーカーに合わせて選択できるようにする	プリセット信号の選択機能をコードに追加する
使用するポートの変更を可能にする	デバイスの変更の可能にする

この中で、リモコン信号を使っているビデオにあわせて変更可に することや使用するポートの変更を可能にすることは、ユーザー が自由に設定できるようにしなくてはならないし、できれば、再コンパイル なしに行ないたい。

 ここでは、この『再コンパイルなしに設定を変更』を可能にする方法として、 アプリケーション・リソースを使用する方法を説明する。

• アプリケーション・リソース

アプリケーションでユーザーに独自のカスタマイズ可能にするためにも、 リソースを使うことが出来ます。 これにより、プログラムの再コンパイル無しに色々な設定を変更することが 出来ます。
• メーカー名の変更

プログラムの内部では、メーカー名は定数で表されています。ここでは、 この数値をリソースで設定できるようにします。
• ワイヤレス・コマンダ・ドライバのデバイス名の設定

ワイヤレス・コマンダ・ドライバのデバイス名には、"/dev/rmc0"と "dev/rmc1"があります。デフォルトでは、"/dev/rmc0"としています。

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• 実装方法
• vwireless.h について

 vwireless.h には、以下の部分が新設されています。
リソースの設定のために必要となるリソース名/クラス名です。
　リソース名/クラス名は、命名について『名付けかた』があります。

• 『リソース名』…　小文字から始まります。 　　　　　　　　　　　　識別子には、先頭に`XtN'を付けます。
• 『クラス名』……　大文字から始まります。 　　　　　　　　　　　　識別子には、先頭に`XtC'を付けます。
　この他に、変数の型を示す『XtR+大文字から始まる』識別子を使う場合 もあります。
アプリケーション・リソースが格納される構造体の型宣言

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/*****************************************************
 *  アプリケーション・リソースのリソース名／クラス名
 *****************************************************/
#define XtNvideoMaker   "videoMaker"
#define XtCVideoMaker   "VideoMaker"
#define XtNrmcDevice    "rmcDevice"
#define XtCRmcDevice    "RmcDevice"


/* data structure for application resources */
typedef struct {
    int video_maker;
    String rmc_device;
} AppData, *AppDataPtr;

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• vwireless.c について

 wireless.c → vwireless.c においての主な変更をまとめます。

1. インクルード・ファイルの設定
2. アプリケーション・リソースの変数を設定する
3. 登録するリソースのリスト(リソース・リスト)

 ここで、前述のリソース名,クラス名などを使用します。 設定する内容は、以下の通り。

 

1. リソース名
2. クラス名
3. 表現型(変数の型を表す名前)
4. 変数の大きさ〔bytes〕
5. 構造体内でのリソースが格納されるメンバの位置
6. 初期値の形式
7. 初期値
 

MAKER

メーカー名の初期値"MAKER"は、Imakefile に定義されています

 

4. 使用するオプションのリスト

(オプションを使わないときは、設定する必要なし)

5. 認識するコマンドライン・オプションに関する設定の追加

(オプションを使わないときは、変更する必要なし。)

6. アプリケーション・リソースを取得する

※ 4 / 5 は、以下のオプションに対応するための変更です。
• -maker <<maker-id>>

メーカー名を示す定数(rmc.h 参照)
• -rmc <<device-name>>

ワイヤレス・コマンダのデバイス名

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1
#include "vwireless.h"

2
AppData app_data;

3
/* resource list */
static XtResource resources[] = {
{
        XtNvideoMaker,
        XtCVideoMaker,
        XtRInt,
        sizeof(int),
        XtOffsetOf(AppData, video_maker),
        XtRImmediate,
        (XtPointer) MAKER
    },
    {
        XtNrmcDevice,
        XtCRmcDevice,
        XtRString,
        sizeof(String),
        XtOffsetOf(AppData, rmc_device),
        XtRImmediate,
        (XtPointer) "/dev/rmc0"
    },
};

4
/* Command-line options table */
static XrmOptionDescRec options[] = {
    {"-rmc",    "*rmcDevice",   XrmoptionSepArg, NULL},
    {"-maker",  "*vidoeMaker",  XrmoptionSepArg, NULL},
};

int main(int argc, char **argv)
{
    XtAppContext app_context;
    Widget topLevel;

　　　　　・
　　　　　・
　　　　　・

    topLevel = XtVaAppInitialize(
        &app_context,         /* Application context */
        "VWireless",          /* Application class */
        options, XtNumber(options), /* command line */5
        &argc, argv,          /* command line args */
        NULL,
        NULL);

6
    XtGetApplicationResources(topLevel,
        &app_data,
        resources,
        XtNumber(resources),
        NULL,
        0);

　　　　　・
　　　　　・
　　　　　・

}

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• コンパイルのときの設定

Imakefile を編集する。以下の行に、デフォルトのメーカーを設定する行 があります。この行の MAKER を設定します。

 設定する値は、"/usr/include/linux/rmc.h"で定義されるメーカー識別子 を利用することができます。この例では、松下です。

 

 

DEFINES = -g -Wall -DMAKER=RMC_MATUSHITA

 

• アプリケーション・デフォルト・ファイルの設定 個々に機器を設定する場合は、Vwireless.ad の以下のリソースを設定し ます。設定する値は、"/usr/include/linux/rmc.h"で定義されるメーカー の値を十進数に変換したものです。

　この例では、松下です。(0x8000→32768)

 

! VTRのメーカーを選ぶ(クラス名での選択) !*xwireless*VideoMaker: 32768 ! VTRのメーカーを選ぶ !*xwireless*videoMaker: 32768

 

• "*xwireless*videoMaker"は、VTRのメーカーに関するリソース名 です。デフォルトから変更する場合に使用します。

　これらの設定を行った、アプリケーション・デフォルト・ファイルは、 XawTownsDocSample/sample2/Vwireless.ad と言う名前で収録しています。

 

 

プログラムを解凍する位置を変えた場合や使っている機種にあわせて、 再編集が必要です。

 

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　　　リソースに関する記述は、以上です。だたメーカー識別用の値を直接数値で 　　入力するのは、あまり良い方法では、ありません。もっと良い実装方法もあり 　　ますので、時間があったら作ってみたいと思います。

 

実際のリモコンの信号を出す部分については、本ドキュメントと目的が 異なりますので記述しません。 　マシーンMさんが作られたプログラムは、わかりやすく作られているの で、こちらと比較してもらうと良いと思います。

 

 

◇◇ 注意 for FM TOWNS ◇◇

ワイヤレス・コマンダ・ドライバは loadable module になっています。 使用法は、ドライバ付属のドキュメントをご覧下さい。 　/etc/rc.d/rc.local に登録すると起動時に自動的に組み込まれます。 また、kerneld を使用して、必要な時に自動的にドライバを組み込むこともできます。